ユニマール朝は、病んで久しい。
致命的ではないものの、瀕死の病人。
それが、シュヴァーベン地方に住まう総意だった。
荒れ果てた地方、統制の取れない住人ら。
国家の寿命は、もはや、とっくの昔に尽きていた。
歴史家は、それをユニマール朝の末期と史書で語るだろう。
無論、甘んじて滅びに突き進んだのではない。
危機へ直面した王国へはたびたび諸外国の支援が届いた。
改革の取り組みもなされ、一時的にこそ持ちなおす。
伝統ある王朝として、ユニマール朝はたびたびの危機を
のり越えてはきた。
だが、ついに、命運が尽きるときが訪れるのだ。
ただ、当事者達だけが発火まで気づかなかったに過ぎない。
無邪気に、あるいは、盲目のうちに信じていたのだろう。
明日も、今日の延長だ。変わらぬ未来が続くのだろうと。
そして、最後には、また危機をのりきれるだろう、と。
だが、世界は知らないのだ。
ことの始まりは、ささいなことだった。
あるいは、因果の戯れであったのかもしれない。
しかし、種はまかれていた。
まかれた種は、やがて実を結ぶ。
かくして、引き金は引かれてしまう。
積もり積もっていた矛盾はついに噴火するのだ。
アルブレヒト・フリートラント、汝、異邦人よ。
まいた種は、刈り取られなければならないのだ。
革命の炎は、今や、燎原の火として燃えあがっている。
自由、平等、そして公正。$銃と魔法の轟きの先に、打ち立てられるべき新秩序が
迫りつつある……